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……まあ、それはともあれ――
「……その、駄目だった」
「あははっ、やっぱり!」
少し目を逸らしつつそう伝えると、何とも楽しそうな声で答える藍李。どんな表情をしているのか、確認せずとも容易に想像できる。
さて、何のお話かというと……まあ、言わずもがなかもしれないけど、昨日の福引きの件で。
……ぐっ、こうなるからバレたくなかったんだけどなぁ。まあ、小さい町だし隠し通すなんてどのみち無理があっただろうけど。
「……ふん、今に見てるが良いよ藍李。僕は、いつか絶対に1等を――あの藤崎テーマパーク年間特別招待ペアチケットを、絶対に手に入れて見せるから」
「あははっ、ジェットコースターにもローラーコースターにも乗れないのに?」
「……ぐっ。でも、あのテーマパークにはそれ以外にも魅力がたくさんあるからね。それに、このチケットは入場だけじゃなく園内の食事も全てタダ。更には、このチケットでしか座れないパレードの特等席まで――」
「はいはい、当たると良いね〜」
ともあれ、そんな宣言をかまし熱弁を振るうも可笑しそうに答える藍李。……ぐっ、今に見てるが良いよ。いつか、絶対に引き当てて見せるから!
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