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福引き
「…………あと、一回……」
そう、ポツリと呟く。そんな僕の手には、一枚の小さな紙切れ――されど、今の僕には何より大事な一枚の紙切れ。それを、ハンドベル片手に快活な笑顔を浮かべるハチマキ姿のおじさんへ手渡す。そして、ゆっくりとレバーを回し――
――コロン。
「あちゃー、残念だったな兄ちゃん。ほら」
「……ありがとうございます」
朗らかな笑顔のままそう言って、こちらへと手を差し出すおじさん。その手には、街頭で配られているようなティッシュの袋――言わずもがなかもだけど、福引きの外れ景品で。
……ほんと、当たらないなぁ。でも……ふと目線を上げると、そこには1等から5等の景品が記された大きな用紙。……そう、僕は何としても当てなきゃならない。何としても、あれを――
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