第14話 サイレンサーは消去する

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ガストールは全力で駆け寄るが間に合わない。 エリザは詠唱を続けながらも、彼女は錫杖をしっかりと握りしめ、敵の動きを見極めていた。 兵士が剣を振り下ろすその瞬間、エリザは素早く杖を振るい、鋭い一撃を相手の顎に叩き込んだ。 兵士は悶絶し、そのまま後ろに倒れ込む。 さらに背後から襲いかかろうとした別の兵士に対しても、エリザは素早く対応し、錫杖を彼の腹部に打ち込んだ。 「エリザ様?」 ガストールは驚きの表情を浮かべた。  エリザも、アッシュ王子と共に剣聖ショーン・イングリスから修行を受け、錫杖戦闘術を身につけていた。彼女はその力を存分に発揮し、次々と襲いかかる敵を打ち倒していく。 「これで…終わりではないわ…」  魔法の力を宿したエリザの錫杖が、大規模な足払い魔法を発動させる。親衛隊の約半数が、バタバタと倒れこむ。 フル装備の王国戦士と、ハイプリーストである。 親衛隊たちは勝ち目がないことを悟り、お約束の行動にうつりつつあった。 「そこまでだ。この娘がどうなってもいいのか?」 ナイフを握りしめた男が、若い女性の頬をぺちぺちと叩き始めた。 エリザの怒りが頂点に達する。 「卑怯な…!」 エリザは叫び、視線を鋭く投げかけた。 「あなたがた、そんな覚悟がおありなの? ハイプリーストである私に対して、そんな卑怯な手を使うの?」 男は不敵な笑みを浮かべながら答えた。 「戦いに手段を選ぶ余裕なんてないのさ。 お前たちをここで始末するためなら、何だってやる!」 エリザはにっこりと笑い、静かに言葉を紡いだ。
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