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ガストールは全力で駆け寄るが間に合わない。
エリザは詠唱を続けながらも、彼女は錫杖をしっかりと握りしめ、敵の動きを見極めていた。
兵士が剣を振り下ろすその瞬間、エリザは素早く杖を振るい、鋭い一撃を相手の顎に叩き込んだ。
兵士は悶絶し、そのまま後ろに倒れ込む。
さらに背後から襲いかかろうとした別の兵士に対しても、エリザは素早く対応し、錫杖を彼の腹部に打ち込んだ。
「エリザ様?」
ガストールは驚きの表情を浮かべた。
エリザも、アッシュ王子と共に剣聖ショーン・イングリスから修行を受け、錫杖戦闘術を身につけていた。彼女はその力を存分に発揮し、次々と襲いかかる敵を打ち倒していく。
「これで…終わりではないわ…」
魔法の力を宿したエリザの錫杖が、大規模な足払い魔法を発動させる。親衛隊の約半数が、バタバタと倒れこむ。
フル装備の王国戦士と、ハイプリーストである。
親衛隊たちは勝ち目がないことを悟り、お約束の行動にうつりつつあった。
「そこまでだ。この娘がどうなってもいいのか?」
ナイフを握りしめた男が、若い女性の頬をぺちぺちと叩き始めた。
エリザの怒りが頂点に達する。
「卑怯な…!」
エリザは叫び、視線を鋭く投げかけた。
「あなたがた、そんな覚悟がおありなの?
ハイプリーストである私に対して、そんな卑怯な手を使うの?」
男は不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「戦いに手段を選ぶ余裕なんてないのさ。
お前たちをここで始末するためなら、何だってやる!」
エリザはにっこりと笑い、静かに言葉を紡いだ。
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