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「それでは私も、どんな手を使ってもいいってことですね?」
「へ?」と男が間抜けな声を上げた瞬間、
エリザはだいぶ前にはほぼ完成させていた詠唱を完成させた。
「悔い改めよ!」
その声と共に、神聖な光が一瞬で周囲を包み込んだ。
親衛隊たちは次々とその場に崩れ落ち、苦悶の声を上げることなく、静かに倒れていく。
「皆さん、今日から悔い改め、キャンプの民のために仕えることを誓いなさい!」
エリザの声が響き渡り、倒れた親衛隊の面々は、キラキラとした目をして起き上がった。彼らはまるで生まれ変わったかのように、その悪意が完全に消し去られ、『純粋な心』を創造されていた。
「自分はなんてひどいことをしていたのだ…」
悔い改める親衛隊たちは、一人一人がエリザに誓いを立てた。
ハイプリーストであるエリザの究極の神聖魔法『ペティナンス』は、エリザが『つよい』プリーストを目指すために自ら開発した。
神聖魔法の加護を受けたエリザのオリジナルの魔法であり、人間の悪意を完全に消去する『凶悪な』神聖魔法である。
神聖魔法を「洗脳」に使用することは、プリーストにあるまじき背神行為ではある。
そもそも人間には悪意も最低限は必要である。
悪意がなければ、自己防衛もできないのだ。
悪意がゼロの『キラキラな』人間は、悪意からの防御もできないお花畑な人間である。この魔法はそんな人間の「根源」をも消去してしまう。
エリザも実はこんな魔法、開発も使用もしたくもなかったが、殺さず無力化するには、この方法しかないのである。多少の廃人のような人間がでるのは致し方なかった。
エリザはさきほどの女性を保護し、他に選択肢がなかったかもう一回確認した。
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