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一方、エリザは、麻薬の流入には、一切の譲歩をするつもりがなかった。
これは国防の問題であるし、エリザにとっては戦争なのである。遊びではない。
どだい麻薬という廃人を作成するようなものに手を出しながら、音楽で人心を惑わしたり、心の弱さなど説いても、現実主義者のエリザにはさっぱり共感ができない。
そして彼らは、罪なき者を犯罪者に仕立て上げるのだ。
最 悪 で あ る 。
エリザは、麻薬に関しては一切妥協しないことを最初から決意していた。かえって対応を甘くしてスパイ組織に介入され、重要人物が暗殺されるような「修羅の国」にフロストヴァルドがなったら困るのである。ここは断固阻止である。
まず最初に吟遊詩人だったレイモンドは「暗殺」した。
彼は、サンフォーレ兵に見せしめに声を奪われて以来、音楽で人を癒すふりをしながら麻薬を売っていた。
売人は一人殺しても、ころころ売るものがでてくるのだ。
見つけ次第、レイモンドと同様に、
王族直属の暗殺組織に人知らず消去させた。
麻薬を売るもの、買うもの、関わるものはすべて消去した。
最後に搬送ルートをみつけてつぶした。
一切の譲歩なく消去した。
ただ、一方、エリザは酒だけは許可した。
酒も強力な麻薬であるに違いないが、酒は王国公認の麻薬なのである。
不本意ではあるが、この部分だけは妥協した。
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