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「秘密なのだけれども、
あの魔法は一生王子を守る魔法なのよ。
これからもよく育っていくと思うわ。」
と、リリアは楽しそうに言った。
「王子に害をなすものは等しく、
『死を受ける』魔法なの。美しいでしょ?」
そのあとリリアは、リリアが考えた「死ぬより苦しむ方法」を延々とノワールに語った。つまり、リリアは、いろいろ「試行錯誤」をした結果、暗黒魔法のデスカースを応用し、近づくだけで発動し、近寄りすぎると即死するという、遅発性のデスカースの魔法をアッシュの為だけに思い付きで開発したようであった。まったくの悪趣味である。
ノワールは、全然美しくないと思いながら、その口をつぐみ、
昨日の男子生徒の行く末を憂慮した。
「あの生徒、死んでいないといいけどね。」
「あんな輩、死んだ方がいいですわ、わが国の恥ですもの」
と冷たく言い放つリリアの言動に冷たいものを感じながら、
皇女の魔法がばれなければいいなと、ノワールは心配になるのだった。
「次は図書館で会うっていうけど、リリアは何を図書館でする予定なの?」
「そうね、私はまず学園の禁書庫に行ってみたいのよ。
サンフォーレのはもうすべて見てしまったから、退屈だわ。
それに禁書庫なら、他の方に見つからないもの」
ヴェローナ魔法学園の禁書庫、そこには、何百年もかけて集められた魔法書や歴史書、学院の歴史上、危険すぎるため封印された魔法書物が保管されているといわれていた。リリアは、特に禁忌魔術に興味を持っていた。
リリアはシャワールームからでてきてタオルで体を拭きながら言った。
「私もできるかぎり、魔法を使わずに面倒ごとをさけるように努力するわ。」
と、リリアはノワールの懸念について、理解していないわけではないことを説明した。
ノワールは、「禁忌魔術を読みたいとか言ってる人間がそんなこと言っても、全然説得力ないけどね。」と一瞬思ったが。思っただけで口にしないことにした。
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