チャンスがあるなら。

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「カット!!!」 監督の声。 「泣きすぎだよ。声、もう少し抑えて」 「……すみません」 床に横になっていた彼女が起き上がる。 「私は臨場感あっていいと思うけどなぁ」 フォローを入れてくれる彼女は、子役からやってるベテランだ。 優しい。 「うーん。でもなあ。……もう一度やるか」 「はい」 彼女が俺に笑いかける。 大好きな彼女との共演。 恋人同士で、と話題になる! とキャスティングされた。 ドラマの中の物語。 そう、そのはずだった。 なのに、なのに………。
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