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俺は………してはいけないことをしました。
何か、のっぴきならない事情があった訳ではありません。
ただ………気がついたら。
彼女が横たわっていました。
彼女の首には、赤黒い手形。
その瞬間、彼女の首を絞めた感覚が蘇えりました。
細くなっていく声も。
彼女の涙が、俺の手に落ちる感覚も。
思い出したのです。
彼女の排泄物の匂いが鼻をつきます。
でも、俺にとっては、どうでもいいことです。
ただただ、自分に腹が立ちます。
俺の、身勝手さに。
だから………俺は謝りたいのです。
同じ場所にいけるとは思いません。
だけど、謝りにいきます。
こんな息子でごめんなさい。
大切な娘さんを殺めて申し訳ありません。
一種の逃げなのかもしれない。
だけど、生きて償うことのほうが俺には苦しいのです。
勝手なことを言います。
俺は、本当に彼女が好きでたまらないのです。
好きだから、悲しかったのです。
些細な喧嘩と言われることでも、悲しかったのです。
彼女を怒らせた自分が嫌になりました。
自分への怒りだったのに、彼女にむけてしまいました。
どうして俺は、こんなに不器用で馬鹿なのか。
彼女に、自分が死ぬことで償います。
さようなら
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