あるチョコレート菓子

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 仕事を終えて家に帰ると、私はチョコレートが大量に入った二つの段ボール箱の前に仁王立ちし、腕を組んで見下ろしていた。 「よし」  昨日は「もったいない」と思って食べてしまったけど、その気持ちが既に甘かったのだ。このチョコレートと同じくらい激甘だった。  買ったからといって、必ず食べる必要はない。食べずに処分することも選択肢の一つである。  昨日も思い至った選択肢だけど、私は食べることを選んでしまった。今日の結果を見るに、「食べる」という選択肢は論外なのだ。後輩ちゃんに指摘されてようやく気付いた。 「……」  でも、やっぱり捨てるのはもったいないな。段ボール二つ分はかなりの量だし……。  そうだ。  別に深く考える必要はない。  要は自分が食べなければいいのだ。このまま捨てるのがもったいないのなら、今日みたいに他の誰かへお裾分けすればいいのだ。
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