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千田桜介は高校の同級生だ。そして、元親友である。
高校二年の新学期、偶然隣り合わせた席で、お互いが同じ漫画のガチヲタであることが判明した。
ーー先の読めない物語展開とさりげなく散りばめられた伏線。魅力的なキャラ達。
秀逸な作品だったが、絵柄が前衛的過ぎるせいか世間の認知度は低かった。周りの友人たちの反応もイマイチで、孤独感を感じていた私は、同志の登場に舞い上がった。
そうして甚だ強引に桜介と連絡先を交換し、間近に迫る最推しの生誕会開催の約束を取り付けたのである。
最初は及び腰だった桜介だが程なく意気投合し、それから性別を越えた友情を育んできた。
同級生たちが愛だ恋だと浮つく中で、二次元にひたすら傾倒する私たちを、周りは『チェリーズ』と呼んで揶揄った。私の苗字『佐倉』と桜介に共通するサクラに、俗な意味を被せたのである。
だが、私たちはブレなかった。どんなに馬鹿にされようとも、半ば意地になりヲタ活を貫き青春を捧げた。
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