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「咲美? 彼女ったら、まったく何も話していないんだと思うわ。たぶん、私のことを彼に話すのがイヤなんじゃないかしら」
『うひひ、乙女だねぇ。歩先輩? 実はアタシと奏っちは一〇年くらい前から一緒に企画事務所をやっているのですよー。でもこれ、奥さまには話しておいたはずなんですが』
「そうなの? 結婚してしばらくして、あいつがなんとか奏さんの連絡先を調べて僕らの結婚を知らせたっていうのは聞いたけど……、ふたりが一緒に会社やってるなんてまったく聞かされてない」
『あらぁ、そうですかー。十二、三年前にとある駅で奏っちとばったり再会しまして、それから昔みたいにあっという間に意気投合して、なーぜかあれよあれよという間に一緒に会社を起こすことになってしまいまして』
はぁーっと息を吐く奏さん。
「駅じゃなくて空港ね。ほんと、最近物忘れが激しいのよ? やっぱり甘いものばっかり食べてるからかしらね」
『なんですとー? 奏っちもいっぱい食べてるくせに。でもぜんぜん太らないのは不思議。そうとう燃費が悪いよね』
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