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「あっくん? また突然なんでその子の話なのよ。一年の文化祭のときに展示を見に行って、その子が書いた詩集にすごく感動したってんでしょ? 栞さんは聞き飽きました」
「まだ彼女の名前を出しただけじゃないか。いや、実はさ――」
「あのねぇ、その彼女、相当嫌われてるの知ってる? 愛想もないし、発言も冷淡みたいだし。結構有名よ?」
「本当は違うのに。みんな、あの詩集を読んだら彼女が本当はそんな子じゃないって分かるんだけど」
「はぁ……、どこまでお花畑なのよ、あんたって」
そう言いながら、僕に向かって突き出していた箸をガチャリと置いて、購買で買ってきた缶のウーロン茶をグビグビとあおる栞。
もうちょっと女らしくできないものかね。
ミキサールームからガラス越しに見えるスタジオでは、栞と違うとっても女の子らしい二年生の放送部女子たちが、きゃっきゃと笑いながらお弁当を食べている。
ふと、そのうちのひとりがいい笑顔で振り返って、ガラス越しに僕へ手を振った。
「副部長ぉー、十二時四十五分になったら体育館集合の放送かけてくれって言ってましたよー。川上先生がぁー」
「はーい。りょーうかーい」
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