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4、10月 高尾山
モデル制作班で高尾山ハイクの交流会をした。
家族も参加OKにしたので美沙も参加できた。山頂広場でシートを広げて、美沙お手製のお弁当を広げた。美沙は料理も上手だ。何種類ものおかずが入った色鮮やかなお弁当を作って来てくれていた。二人用のお重に入っていた。
勿論、味も最高だった。
僕と美沙で豪華なお弁当を食べていたら、途中でへたり込んでいた滝川さんが、やっと山頂広場に到着した。
「ああ~っ!」と大声で叫んで顔を両手で覆ってバッタリ倒れ込んだ。そのリアクションがマンガみたいで面白かった。
「ばかみたいだな」と僕は呟いた。
「そんなこと言っちゃダメだよ……」と言いながら美沙は声を殺してクスクス笑った。僕もつられて笑っていた。
滝川さんは、起き上がってフラフラと遠くのほうに歩いて行った。遠くの方で一人でシートを敷いてリュックの中からお弁当を出して食べ出した。
一人ぼっちなのに滝川さんは気にしていないように見えた。飯田君が側に寄って行った。
「あっちで、みんなと一緒に食べようよ。交流会なんだし」
「疲れちゃいました。一人になりたいです」
二人とも声が大きくて、そんな会話が少し聞こえた。僕が、ずっと滝川さんと飯田君の方を見ていたら、美沙が面白くなさそうに「若い人たち同士でしょ」と口を挟んだ。飯田君は25歳だ。
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