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3、 9月 両家顔合わせ
9月の最終日曜日。美沙の両親と僕の両親を会わせることにした。
僕の両親は、僕が急に両家顔合わせの席を設けたので驚いた。
僕と美沙の付き合いは丸3カ月が過ぎようとしていた。
親には、お付き合いしている女性がいるということさえ言っていなかった。
僕は、美沙以上の女性は今後に現れないだろうと確信していた。
いつも他人のことばかり慮って遠慮しているようなしぐさをする彼女。
美しくて可愛い容姿。思いやりにあふれる性格。
美沙が余りにも控えめで優しくて、放っておくことが出来なかった。
美沙を家に閉じ込めて守ってあげたいと本気で思っていた。
母は、付き合って3カ月しか経っていないということを知ると文句を言いだした。
「早すぎるんじゃない?その人の人間性を見極めたの?3カ月で?」
其処を父が宥める。
「健太だっていい大人なんだから口を出すのはダメだろう。君の十八番の『自主自立』は何処に行ったんだ」
母は、むくれていた。
シティーホテルのレストランで、食事会をする。
美沙の両親は、大企業の管理職の父親に専業主婦の母親、僕の両親は少しワケアリなので、美沙には話してあった。
父と母は法律上は離婚している。お互いのキャリアのためだ。特に母の方が父を気にしている。子会社とはいえ大企業の系列会社の社長の父親と日本で最大の労働組合の執行役員の母。これが僕の両親だ。
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