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プロローグ~ファンタジーのはじまり
眠れない夜。
微睡みながら聞く、温かく優しい時間。歌うように語られたおとぎ話――
ある国で、待望の王女が生まれた。
王と王妃は、国を挙げてそのことを喜び、祝いの席を設ける。
そこには、人間だけではなく力のある妖精も招かれた。妖精達は、人々と共に喜び、順に王女に祝福を授けていく。
しかし、邪悪な力を持つとされる一人の妖精だけは招かれなかった。招かれなかった妖精は、自分だけが除け者にされたことを悲しみ、怒り、宴の席に押し入ると王女に呪いをかけた。
王女が妙齢になるその頃に、彼女に死の闇が訪れるだろう――と。
呪いは強力で、その場で解くことは難しかった。ならばと、祝福をまだ授けていなかった一人の妖精が、王女に新たに祝福を与えた。
王女に訪れるのは、死の闇ではなく死に近い永き眠り――王や王妃をはじめ、城と共に百有余年の時を止め、城を守る茨の結界を破る者が現れたその時に、皆が目を覚ますだろう。
十六歳になる年、王女は遂に眠りについた。
その後を追うように、城中の者達が一人、また一人と眠りにつき、周囲に茨が咲き乱れ城の入り口は固く閉ざされた。
それから百年。ゆっくりと、時が満ちた――……
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