サキュバスリリスとヴォルフィの店

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 ヴォルフィが戻ってきたので、リリスは提示された金額を支払った。奥様方がおっしゃっていた通り、塗り薬は手頃な価格だったし、いろいろよくしてもらったなとリリスは思う。商品を受け取ろうとした時、ヴォルフィはリリスに用紙を差し出してきた。 「よろしければ、ご登録なさいませんか? 一回のご購入につき一個、印を押します。印が十個たまったら、少し割り引かせていただいています」  なるほどそれは得かもしれない、とリリスは思う。住所、名前、生年月日、年齢をリリスは素直に記入し、ヴォルフィに用紙を返した。 「ヴォルフィと申します。リリスさん、ですね。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」  ヴォルフィはやわらかな笑みを浮かべて小さな紙袋とカードをリリスに差し出す。リリスも思わずつられて微笑みを返した。カードには看板の花の印が一つ押されていて、リリスは思わず残り九個も埋めたい衝動にかられた。だってお得だし、とリリスは後から理由づける。完全に消費者心理を読まれている。
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