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解毒剤が日持ちしないのは原料の問題が大きい。手持ちの原料はほとんどないので、蛇獣人のナータンを訪ねることにした。
「解毒剤の原料ですか……」
「……はい、本当に急な話で申し訳ないんですけど、今あるだけ売っていただきたいのです」
ヴォルフィが事情を話すと、ナータンは困った表情を浮かべた。
「もちろん今ある分は全てお渡しします。ただ、あまり残っていなくて……。なにぶん取引先も祭の休暇に入っているので、届くのは週明けなんです……」
「いいえ、こちらが無理を言っていますので……」
週明けに届いてもまさに後の祭りである。ヴォルフィは祭をひっそり憎んだ。
なんとか売ってもらった原料を使っても、ディーノに依頼された三分の二程度の量しか作ることはできないだろう。仮に原料が足りていたとしても、ヴォルフィは一人しかいないので、間に合うかどうか微妙なところだ。
「突然無理を言いましたのに、本当にありがとうございます。譲っていただいた原料でなんとかします」
そんなことを言ってはみたものの、ヴォルフィに策などない。ナータンは非常に申し訳なさそうな表情でヴォルフィを見送ってくれた。
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