薬師ヴォルフィの理想と現実・その9

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「俺が強く出られたのは、ヴォルフィの解毒剤のおかげだよ」 「僕の解毒剤?」 「本当に薬物を使った模倣犯が出たんだ。でも、ヴォルフィが依頼通り納品してくれたから、急患を受け付けている病院全てに解毒剤が行き渡った。おかげで三人、命を取り留めたんだ。だからもぎ取った報酬も三倍」  ヴォルフィが何も言えずにいると、ディーノはにやりと笑って続ける。 「並の解毒剤だったらたぶん助からなかっただろうって話で、薬の効き目、めちゃくちゃ褒められてたぜ。処置してくれた病院から、薬を卸してほしいからヴォルフィのことを紹介してくれって頼まれたんだ。これから警邏隊の注文は余裕ができるから、きっと請けてくれるだろうって伝えといたけど、いいだろ? みなさんの健康のために協力してほしいんだってさ」  ヴォルフィはこくりと頷き、微笑んで言う。 「もちろん! みなさんが健康なのは、本当にいいことだよ!」
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