薬師ヴォルフィの理想と現実・その9

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 翌週末、再びリリスがヴォルフィの店にやってきた。リリス、君に話したいことがたくさんあるし、なにより。 「会いたかった」  ヴォルフィがぎゅっと抱きしめると、愛おしい恋人は「熱烈に歓迎されちゃった」と、淡々と、でも嬉しそうに言った。  店の奥の私室でディーノから伝えられたことを一通り話し終えると、ヴォルフィはリリスにくちづけ、口の周りを甘噛みし、抱きしめる。 「本当に全然足りない」  ヴォルフィが耳元で囁くと、リリスはくすくす笑った。ヴォルフィはリリスを抱き上げてベッドへ運び、そっと降ろした。ヴォルフィはなすがままになっているリリスを愛撫しようと手を伸ばしかけ、不意に中断して姿勢を正し、言った。
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