薬師ヴォルフィの理想と現実・その9

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「リリスさん」 「なあに? 急に改まって」 「僕はあなたが大好きです」 「え……っと……」  ヴォルフィの突然の告白にリリスは頬を染める。ヴォルフィはリリスの目を見て続けた。 「本当は、きちんと想いを伝えて、恋人になって、狼でもいいかリリスに確認を取ってから、したかった。順番がぐちゃぐちゃになっちゃって、本当にごめん」  ヴォルフィの真剣な目を見て、リリスもあわてて身を起こした。 「それは……私が耐えられなくなって襲っちゃったから、ヴォルフィが悪いんじゃないし……。むしろ私がいきなり襲っちゃってごめんね」 「きっと狼は嫌われるだろうって、すごく自信がなくて……。だからなかなかリリスに好きだって、言えなかった」  リリスは少しの間黙っていたが、もう一度口を開いた。 「あのね。私、大好きな人と心が通じ合って愛されながら初めてを迎えられたらいいなあって、ずっと憧れていたんだけど」 「うん……」 「全然気づいてなかったけど、最初から両想いで、私の願いは叶っていたんだなって、今、とっても嬉しいの!」
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