サキュバスリリスへの処方箋

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 リリスはヴォルフィにサキュバスであることを知られたくなかった。でも、我を忘れて襲ってしまうくらいなら、その前にサキュバスだと伝えて逃げてもらった方がいい。リリスの気持ちよりも、ヴォルフィの安全の方がずっとずっと大事だ。  ヴォルフィは目を見開いて、彼女をじっと見つめた。彼の瞳が嫌悪の色を帯びていないことに気づき、リリスは少しだけ安心して続ける。 「ずっと、ずっと耐えてきたのに、どうしても我慢できなくて……。このままでは私、ヴォルフィさんを襲ってしまうから……」  カタカタと震えるリリスにヴォルフィは微笑みかける。 「なるほど。貧血薬で体質改善の兆しがあまり見られなかったのは、そういう訳だったんですね。リリスさんはこれまでお会いしたサキュバスの方達と雰囲気が違ったので、気づけませんでした」  ヴォルフィは手招きし、リリスを安心させるために優しく言った。 「解決方法ありますよ。リリスさん、こちらへどうぞ」
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