サキュバスリリスにできること

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サキュバスリリスにできること

 リリスは落ち込んでいた。ヴォルフィにサキュバレした上、身体の関係まで持ってしまった。緊急措置であるし、非常に丁寧かつ優しく抱かれ、しかも相手はひそかに想いを寄せていたヴォルフィなのだから、幸運だと判断する人もいるかもしれない。だが、リリスは心が通じ合ってからの初体験に憧れていたのだ。選択肢が他になかったとはいえ、なかなか気持ちは割り切れない。そういうことはある。  ヴォルフィから「僕があなたの精気提供者になります」と言われても、気まずさもあり、リリスはなかなか店へ足を運ぶことができなかった。初めてなのにずいぶん乱れて、媚びた声を上げ、身体は楽しんでしまったことが、恥ずかしくてたまらない。たぶん、痛いまま終わった方が、仕方なかったと行為を正当化することができた。下手に快楽を知ってしまったから、余計ヴォルフィのことを欲しくなっている。
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