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「私にできることは、そんなに多くないですけど……」
ヴォルフィが黙ったままなので、リリスは消え入りそうな声で付け足した。
「そうだ」
ヴォルフィは立ち上がると隣の部屋へ向かい、籠を持って戻ってくる。中には何枚か白いシャツが入っていた。
「ボタンを失くしてしまったり、袖口が擦り切れたり、生地に穴が空いたり、インクが取れなかったりで、そのままでは着られないシャツです。綺麗に直そうと思ったら意外と面倒で神経を使いますし、捨てた方が早いかもしれないんですけど、なんだかもったいなくて。これ、どうにか甦らせられませんか?」
「どんな風にしてもいいですか?」
「もちろんです。本当にぼろぼろになったものは、こんな風に使い捨ての雑巾にするので」
籠に入ったシャツも使い捨て雑巾として切ったものも、全て同じ生地だった。気に入っているのだろう。
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