サキュバスリリスの相手は一人

サキュバスリリスはいろいろ気になる

「リリスちゃん、ずいぶん顔色もよくなったし、綺麗になったって評判よ。恋人でもできた？」
「そういうのじゃ、ないですけど……」
「結婚するなら堅実で真面目な男性がいいわよ」
「お金もあるに越したことはないわね」
「でもやっぱり相性よね。一緒にいて居心地がいいかどうか」

　ここでは「筋肉質で強引な俺様」と「女性が途切れずあしらいが上手い色男」が人気、なのではなかったか？　いつも話題が盛り上がる男性達とはなんだか重ならない。実際、後日奥様方にうかがったお連れ合いの職業は、役場の職員や教員や医者や警邏隊等、みなさん堅実さと真面目さが求められるもので、性格は総じて温厚であった。推しに求めるものと結婚相手に求めるものは別。そういうことはある。

「お祭りに一緒に出掛ける約束はしているの？」
「特に約束は、していないです」

　毎年四月末には春の到来を祝う聖なる祭が催される。ヴォルフィと会うのはいつも店だ。確かにヴォルフィと一緒に外出できたら素敵だろうなとリリスも思う。