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リリスはなんだかんだでヴォルフィは断らないだろうと思っていた自分に気づいた。彼はいつでも自分の希望を聞いてくれたから。
リリスは世話を焼かれるのに慣れている。それは自分から訴えかける機会が少ないということでもあった。与えられる機会が多い者は、他者に執着しない。いい意味でも悪い意味でも。次があると素直に思えるのがいいところであるし、諦めが早すぎて明後日の方向へ行ってしまうこともある。
昼を一緒に過ごすことは断られたけれど、夜は来てもいいとヴォルフィも言ってくれた。自分の思った通りにならなかったからといって、振られた訳でもないのに、悲観的過ぎる。もう一度会いに行けばいいではないか。そう思えばいいのに、リリスの心は簡単に折れて、ヴォルフィのところへ行けずにいた。
この判断に至ったのは、前日、職場で手痛い失敗をしたことも大きい。自信を失うとよい可能性に目を向けることが難しくなる。
明るい気持ちになれないので、何か食べて帰ろうかなとリリスは思う。ヴォルフィと一緒に行けたらと思っていた、おいしいと評判のお店が浮かび、どうしても彼のことを考えてしまう自分が嫌になった。
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