サキュバスリリスとヴォルフィの気持ち

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サキュバスリリスとヴォルフィの気持ち

「ねえ、ヴォルフィ」  リリスが語り掛けると、狼は彼女に優しいまなざしを向けた。 「後ろからじゃないと嫌? 今度は私が抱きしめたいの」  リリスが問いかけると、狼は一度ぴくりと震えた。その後ほとんど動かなかったので、リリスは狼の頭と背を毛並みに沿って撫でた。慈しむようにそっと。しばらく狼は惑うような目をしていたが、ゆっくり立ち上がり、おずおずとリリスの上に乗った。  リリスが小さく頷いたのを見て、狼は彼女の中へゆっくり身体を沈めていく。今度はリリスが狼を抱きしめる。毛並みが綺麗でやわらかくふかふかなので、抱き心地がよかった。獣だけれど、この狼は優しくゆっくり動いてくれる。対面で受け止める時は、これくらい穏やかな方がしっくりくる。 「温かくて優しくて安心するわ、ヴォルフィ」  リリスは狼の背をゆっくり撫でさする。精を注ぎ込んでもらうためでも、快楽を得ようとするのでもなく、ただ彼を受け入れたくて望んだ行為。この穏やかな行為は今までで一番心地よさをもたらしてくれたようにリリスは思った。
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