サキュバスリリスとヴォルフィの気持ち

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 撫で続けるうちに、背の感触が変わったことにリリスは気づいた。ふかふかだった毛皮が少し滑らかになっている。毛量と質が変わってきている? そうリリスが思う間に、彼女の身体に圧し掛かる重みが増した。 「あ……」  リリスは思わず声を上げた。狼が人間のヴォルフィの姿に戻ろうとしていたから。耳は狼だが、顔と身体は既に元のものだ。 「人間に戻って……」 「……リリスさんが、狼の僕を受け入れてくれるなんて、思わなかった」  リリスがもう一度ヴォルフィの背をそっと撫でると、彼は苦笑しつつ言った。 「数年ぶりに完全に変身した。今は不完全で、耳としっぽだけが狼だから喋れる。疲れてるし、満月だから、今日はこれ以上戻れないだろうけど」 「ヴォルフィさん……」 「本名はヴォルフ(狼の毛皮を纏って)ガンク(戦いに行く人)。僕の一族はみんな狼にまつわる名前をつけられているんだ。長くて面倒だから愛称を名乗っているけど」  ヴォルフィは自分がリリスを押し潰していることに気づき、そっと男根を抜いて彼女の隣に寝転んだ。 「普段はステレラの根を原料にした薬で抑制しているんだ。僕はそこまで狼の力が強くないから、普通の人間とほぼ同じように生活できる」
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