サキュバスリリスとヴォルフィの気持ち

6/6
前へ
/131ページ
次へ
「私はヴォルフィのきちんとしたところがいいなと思うけど、これまでずっと理性的だったから気持ちがつかみきれなかったし、いつもと違う行動にはびっくりしたけど、私を心から求めてくれてるのがはっきりわかったし……」  リリスはあまり喋りが上手くない。まとまりがなく、ヴォルフィには何を言いたいのかわからないだろう。リリスはもう一度ヴォルフィの狼の耳をそっと撫でながら伝えた。 「人間でも狼でも、ヴォルフィはとっても優しくて、私は大好きよ」  ピンと立っていたはずのヴォルフィの耳がまたへにゃりと垂れた。ヴォルフィは唇を噛み締めたままリリスを抱きしめ、そのままじっとしていた。リリスも応えるように両腕をヴォルフィの背中に廻し、脚を彼の腰に絡める。二人の間に会話はない。けれども密着して互いの気持ちが溶け合うようで、リリスはとても安心していた。  長い間ヴォルフィはリリスをそのまま抱きしめていたが、ふれるだけのキスをして、ゆっくり動きだした。ただただ慈しむような優しい動き。時間をかけてヴォルフィが最後に吐き出した精は、リリスが今まで味わったことのないおいしさで、甘くてまろやかでとびきり優しい味がした。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加