サキュバスリリスの相手は一人

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「犯人逮捕の協力?」 「そう。人狼が事件に関与している可能性は早い時期から考えられていたから、特性からどんな行動をとるかとか、次に狙われるならどのあたりだろうかとか、手口の推測とか、いろいろ相談に乗っていたんだ」 「そうだったの」 「あと、警邏隊は普段から大口の卸先。今回は解毒剤を大量に発注されたんだけど、僕の作る解毒剤は鮮度が命だから、作り置きができないんだよ。昨日の夕方に納品だったから一昨日は徹夜で作って、しばらく寝ないと持たないし、夜は満月だからなるべく外に出たくなくて……」 「誘いを断ったのはそれで……」 「そうだよ! リリスとデートなんて、すっごくしたかったに決まってる! 断りたくなんかなかったよ!」 「痴話喧嘩中申し訳ないけど、俺には報告の義務があるから職務を遂行させてくれ」 「だから、そういうのいいから!」  ヴォルフィの対応が大変そうだったので、リリスは次の週末にまた来ると告げ、悲愴な表情の彼を置いて自分の家へ帰った。想いが通じ合った翌日でも淡々としたものである。
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