サキュバスリリスの相手は一人

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 次の週末、リリスが薬局を訪ねると、ヴォルフィはとても嬉しそうな顔でカウンターを飛び出し、彼女を抱きしめた。 「会いたかった」 「熱烈に歓迎されちゃった」 「晴れて恋人になれたからもっと近づいてもいいかなと思った、のもあるけど、減薬した。不安が少なければある程度意志の力でもなんとかなるし、もう大丈夫かなと思って」  ヴォルフィの言葉にリリスは微笑んだ。自分と一緒にいることでヴォルフィが安心してくれているのだと知って、嬉しかったのだ。ヴォルフィはリリスに奥の部屋に行くよう指示し、店の戸締りに向かった。  戸締りを終えたヴォルフィはこほんと咳払いをして言った。 「まず一件、怖いお知らせがあります」 「え? 怖い?」 「連続婦女暴行犯がつかまったんだけど」 「よかったあ。これから安心して暮らせるね」 「全然よくない。お祭りの日にリリスと一緒にいた男だよ、犯人」 「え……」 「あの時はリリスしか見てなかったから不穏な気配に気づいてなかったし、感情のままに行動した自分を恥じていたけど、もし行かなかったらと思うとぞっとする」
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