薬師ヴォルフィの理想と現実・その1

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 ヴォルフィは会員登録とスタンプカードのことを思い出し、警邏隊の犬獣人に用紙を渡す。 「よかったら、登録しませんか」  犬獣人は笑顔で用紙を受け取り、必要事項を記入し、ヴォルフィに返す。ヴォルフィは代わりにスタンプカードを渡しながら伝えた。 「印が十個貯まったら割引しますので……フェルディナントさん」 「堅いなー! みんなディーノって呼ぶから、それで」  言われても書かれてもいない愛称を知っている訳がないだろう、とヴォルフィは内心思いながら返答する。 「またのお越しをお待ちしております。()()()()()()()()さん」  犬獣人は少しの間ぽかんと口を開いていたが、カラカラと笑いながら「また来る」とヴォルフィに告げ、店を出て行った。
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