薬師ヴォルフィの理想と現実・その2

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「フェルディナントさん」 「何?」  犬獣人の脚の打撲に湿布を貼りながらヴォルフィは訊ねる。 「薬の原料を仕入れたいのですが、よい業者をご存じないですか?」 「え? 困ってたの? なんかこだわりがあるのかと思ってた」 「いえ、そんなものはあまりないです。薬師ギルドの紹介も、市場も、どうも今一つで……」 「もっと早く言ってくれればよかったのに。助けを求められたら、すぐ動くぜ、俺は」 「ありがとうございます」  手当てが終わったので、犬獣人はヴォルフィに問いかける。 「今日の代金はいくら?」 「今日は結構です。紹介していただくので」 「そんなこと言って、スタンプカードが九個からなかなか進まないんだけど! 俺、割引、結構楽しみにしてんのに!」
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