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ヴォルフィは店に戻ると、すぐに着替え、シャツを水に浸け、買ってきた原料を整理して収納した。洗面所へ戻り、今度はシャツのインクと格闘したが、残念ながら少し色が残ってしまった。まいったなあと思っていた時に、ドアベルが鳴った。
「ヴォルフィ、すまん。うっかり転んじまってさあ」
犬獣人が笑いながら言うので、ヴォルフィは椅子に座るように勧めた。店の奥から消毒薬と軟膏を持ってくると、ヴォルフィは無言で額の手当てを済ませる。犬獣人はにこにこ笑って言った。
「いつもすまねえな。いくら? これでスタンプ十個目だよな! どれくらい割り引いてくれんの?」
「スタンプはなし」
淡々と言うヴォルフィに、犬獣人はひどくがっかりした表情を浮かべる。
「えー! 俺、めちゃくちゃ楽しみにしてたのに!」
「特典はあるよ。これから軽い怪我は無料で手当てするから。……ディーノ」
警邏隊の犬獣人ディーノは一瞬目を見開いたが、やがて腹を抱えて笑った。
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