薬師ヴォルフィの理想と現実・その4

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 リリスが店を出た後、ヴォルフィはひそかに決意していた。これから全力でリリスを健康にしよう、と。店に通ってもらう間に少しずつ信頼関係を築き、リリスの体調が安定して、客と店主という関係ではなくなった時に、改めて口説くことにする。もし恋人になれたら、しばらくはより親密になれるように誠意をもって接し、狼でもよいかを確かめて、よいと言われたら晴れて致せばいいではないか、と。  なんとも気の長い話だが、「お客様には手を出せないし、体調が悪い女の子に無理強いするなんてもってのほかだし、相手の意思は尊重すべき」というのがヴォルフィの信条であった。ただ、恋人とはやはりいろいろしたいので、そのためにも段階を踏もうと考えたのだ。瞬発力はあまりないが、長期戦は割と得意な狼である。
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