薬師ヴォルフィの理想と現実・その5

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「手口というか傾向が。器物破損の方は場当たり的っつうか、目的がわかんねえし、事件が起きている場所の範囲が狭い。薬物の使用は一切なし。婦女暴行の方はえらく用意周到というか、計画的な感じがするんだよな。犯行が満月の前後に集中していて、場所も広範囲だ。被害者にも傾向があって、背が低めで細身の可愛らしい雰囲気の女性ばかり。薬物で被害者を前後不覚にして犯行に及ぶことが多い」  ディーノの言う通り、器物破損はヴォルフィの店に近い未だ寂れた地域に限定されていたが、婦女暴行は王都の人通りが多い場所にまんべんなく印がついていた。 「薬物ねえ……」 「手口は決まってて、まず酒を飲ませて、潰れた場合は、そのまま宿に連れ込んでる。薬を使うのがもったいないんだろうな。潰れないなら、睡眠薬と媚薬を混ぜたものを飲ませた後、お楽しみって流れみたいだ。勇気を出して訴えてくださった女性の話を聞くと、自分も楽しんでしまったから恥ずかしくて言えない被害者も結構いるんじゃないかって」 「普通に口説けばいいのに」 「犯人の心情はわからんが、後腐れなくていいんじゃねえ?」
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