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現場で採取した薬を調べてほしいと言われ、ヴォルフィは手持ちの薬と混ぜ合わせ、反応を見た。
「粗悪品だね。安い原料を不純物で嵩増しした感じだ。これ、あんまり効かないんじゃないかなあ」
「すぐわかるんだな」
「それは、本職だし」
「ヴォルフィ、もしかしてお前が犯人だったりして?」
ヴォルフィはディーノを睨みつけた。確かに、被害者はヴォルフィの好みと一致しているし、薬物も精製可能だが、本当に失礼な話である。
「冗談だって! 冗談」
「笑えない話は、冗談って言わないんだよ」
「ヴォルフィ、意外と笑いに厳しいんだな」
「そういうことじゃない!」
「で、その後金曜の麗しの君とはどうなん?」
この話の脈絡のなさ、以前本人も言っていた通り、確かに「いかにも感性が人外」である。ディーノはにやにやしながらヴォルフィを見て続ける。
「しばらく恋愛はいいなんて言ってたのにねえ」
「だから、そういうのじゃ」
「攻めあぐねてるんだろ」
図星でヴォルフィは何も言えない。ディーノは淡々と続ける。
「人狼だって伝えたのか?」
「……まだ」
「え、でも、泊まりに来てるってことは、ヤルことヤッてんだろ?」
「…………流れでしちゃって、却って言えなくなった」
「ふうん」
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