薬師ヴォルフィの理想と現実・その5

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 現場で採取した薬を調べてほしいと言われ、ヴォルフィは手持ちの薬と混ぜ合わせ、反応を見た。 「粗悪品だね。安い原料を不純物で嵩増しした感じだ。これ、あんまり効かないんじゃないかなあ」 「すぐわかるんだな」 「それは、本職だし」 「ヴォルフィ、もしかしてお前が犯人だったりして?」  ヴォルフィはディーノを睨みつけた。確かに、被害者はヴォルフィの好みと一致しているし、薬物も精製可能だが、本当に失礼な話である。 「冗談だって! 冗談」 「笑えない話は、冗談って言わないんだよ」 「ヴォルフィ、意外と笑いに厳しいんだな」 「そういうことじゃない!」 「で、その後金曜の麗しの君とはどうなん?」  この話の脈絡のなさ、以前本人も言っていた通り、確かに「いかにも感性が人外」である。ディーノはにやにやしながらヴォルフィを見て続ける。 「しばらく恋愛はいいなんて言ってたのにねえ」 「だから、そういうのじゃ」 「攻めあぐねてるんだろ」  図星でヴォルフィは何も言えない。ディーノは淡々と続ける。 「人狼だって伝えたのか?」 「……まだ」 「え、でも、泊まりに来てるってことは、ヤルことヤッてんだろ?」 「…………流れでしちゃって、却って言えなくなった」 「ふうん」
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