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5、進むべき道
うつむく碧葉の脇に、いつしかあの子狐が寄り添っている。
子狐は何か言いたげに碧葉を見上げながら、しきりに尾を振った。
慰めているのか、励ましているのか——その仕草には碧葉を気遣う何かが宿っている。
「お前……」
力無く呼びかけた碧葉に向かい、子狐は懸命に声を上げた。
「あぁお、わぉん、きゅいぃっ……」
碧葉はうつむいたまま、絞り出すように詫びる。
「済まぬ、子狐……私には、お前の言葉が、分からぬのだ……」
すると——。
積もった雪を投げ合い遊んでいた双子が、ふいに顔を見合わせた。
くすくす。くすくす。
笑いながら目を見交わすと、子狐の脇へ跳ねるように近づいて来る。
「そんなの、簡単」
「そんなの、わけない」
金星は、襟元から樫の葉を一枚取り出し子狐の頭に載せた。
「人にしましょか子狐を」
真白は双子をやんわりと窘める。
「これ……まだ話の途中ぞ。しばし待たぬか、金星、銀星」
だがその声はもはや、双子の耳に入らぬようだ。
「人にしましょか子狐は」
銀星は座り込む碧葉を立たせると、子どもとは思えぬ強い力でぐいと後ろに押しやった。
子狐と碧葉とのあいだに広い距離が開く。
じっと子狐を見つめ、双子は誘うように言葉を紡いだ。
「人になれ。さすれば話せもしましょうぞ」
「人になれ。さすれば恩も返せましょうぞ」
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