第1話「光と影のアナウンサー」

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「あのセリフ」  次はひなたから口火を切った。 「随分本気っぽかったけど」 「え?」 「鬼に、私に向かって言ったセリフ」 「……あぁ」  子供たちの声援を貰う前口上が、ひなたにはどこか引っかかっていた。まるで、あの喫茶店で一方的に吹っ掛けた自分への反論のように聞こえて。 「そうだね」  笑いながら、しかし淀みなく彼女は答えた。そしてよくよく考えれば、あの日のことで向こうから安易に謝ろうともしてこない。 「……そういうとこだよ」 「え?」  ひなたは小さく呟いた。彼女への強い対抗心の正体が、分かった気がした。 「私も謝らないから」 「……うん! その方が、朝倉さんらしい!」  その言葉に、ひなたは少し口角を上げた。
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