第1話「光と影のアナウンサー」

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 明子が頬を赤らめ、小刻みに震えている。 「ひ、光田さん……?」 「かーげーやーまー!」 「じゃ、次があるので」  沸騰する明子をよそに、涼し気な顔で影山は去って行く。ちょうどその時、向こうから走ってくる人の姿が見えた。 「影山さん、部長がいつでも行けるって……あ」 「あ」  ほたるは、その人と目が合った。 「朝倉さん!」 「……岩戸さん」  同期との思わぬ遭遇に彼女が駆け寄る。 「お疲れ様!」 「……うん、お疲れ」  明るく接するほたるに対して、ひなたは少しだけ視線を下にずらす。 「元気?」 「元気、だよ?」 「よかったー!」  ひなたの両手を握り、上下に揺らす。 「今度、ごはん一緒に行こうね!」 「うん……分かった……」
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