第1話「光と影のアナウンサー」

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「じゃあ改めて、朝倉さんの配属を祝って、乾杯!」 「「「乾杯!!」」」  局から歩いて5分ほどの居酒屋『アルコールマウンテン』は、連日会社員と学生で入り乱れる。運よくその一角を押さえ、今宵ひなたの歓迎会が催された。営業に関わる部署の社員・総勢20名ほどの大所帯である。  尤も、彼女が配属されて既に1ヶ月が経っており、実際には遅いくらいだ。部長の猫田が発する陽気な号令で、皆もジョッキを掲げる。 「……ありがとうございます」  先輩の社員が続々と彼女のもとに集まる。 「ごめんねー。店が空いている日に合わせたら1ヶ月近く経っちゃって」 「ここは是非、朝倉さんに来てほしかったから」 「でも、ランチは行ってたし、許して!」 「いえ、そんな……やっていただけただけでも、ありがたいです」  にこやかに返すが、正直まだ顔と名前が一致していない人も多く、彼女はどこか気まずさを感じていた。比較的面識のある影山をあてにするも、何やら猫田と談笑している。 「そういえば、聞いたんだけどさ」  先輩の一人が口火を切った。 「朝倉さん、アナウンサー職受けてたって本当?」 「え?」  ぎこちない笑顔が、素に戻る。 「人事の奴が同期でね。そうなの?」 「……はい」  その返事に、周りが沸いた。
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