第1話「光と影のアナウンサー」

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飲み会が終わり、ひなたがアパートに帰ったころには間もなく11時を回ろうとしていた。 「招き猫かー……ふふっ」  先ほどのやりとりを思い出しては笑っている。影山が話していた上司のあだ名もさることながら、それが誇張ではなかったことがまた可笑しい。他にも先輩方と色々交流でき、仲良くなれたと思う。  慣れない環境に身を置いてから、初めて楽しいことを味わえた気がした。  ちょうどその時、彼女のスマホが鳴る。 『帰ったー? 元気?』 「あー、お母さん」    チャットに「元気」と返信すると、すぐに絵文字が返ってきた。 「はやっ!」  一瞬空恐ろしくなったが、微笑みながらさらに絵文字を返す。
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