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「朝倉さん、郵便です」
「はい、ありがとうござい……えっ?」
デスクに大量の封筒が置かれる。それらは全てひなた宛てのものだった。正体が分からず、とにかく主催の放送局に送ってきたようである。中身を開けると、「ファンになった」「鬼のまさに『鬼気迫る演技』に感動した」という熱いファンレターばかりである。
「うわっ、すごいな朝倉さん!」
先輩社員も目を丸める。
「これは、また招いちゃったかなあ」
「猫田部長、さすがです!」
「君、変なものも招いたって言ってなかったっけ?」
「えぇ、そうでしたっけ?」
隣を見ると、影山も自分に届いたファンレターを一つ一つファイルに入れている。
「朝倉さんも次第に慣れますよ」
「は、はい……」
「でも部長、これでCM読める人が増えましたよ」
「あ、確かに! 朝倉さん、引っ張りだこになりそうだなあ」
マンカイ放送営業部・朝倉ひなた。今日からカゲアナとしての新たな日常が始まろうとしていた。
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