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「……ん!」
ラーメンをすすりながら、ほたるは目を見開く。
「美味しい! これは……10ほたる! 満点です!」
「ありがとうございます!」
店主は上機嫌である。
「これは何か隠し味があるんですか?」
「自分の……愛情です」
店内がすっと静まり返る。しかし、次の瞬間だった。
「……ずきゅん! 受け止めました!」
間を間とも思わせないような声量と勢いでほたるが返す。スタッフからも笑みがこぼれる。
「どうでしたか、自分の愛情は?」
「煮干しの深い味わいでした」
先ほどよりも大きな笑い声が現場を包む。後方から見守る明子は二度、三度頷いた。
「できるじゃない」
円満に撮影が終わり、明子はほたるに声をかけた。
「あのコメント、自分で考えたの?」
「はい。せっかく店長がノッてきて下さったんですから」
「うんうん」
「だってあれじゃ店長がすべったままになるでしょ?」
「うんうん……ん?」
ほたるの目はキラキラと輝いたままである。
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