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「え? どう……して……?」
ひなたには情報が多すぎて処理が追い付いていない。
「すみません。今日来る予定の空野アナウンサーなんですが、ちょっと来る途中に事故渋滞にはまっちゃったみたいでして」
「「「ええ!?」」」
「今、こちらに向かっていますので少々お待ち下さい。なので皆さんのエネルギーは後にとっておいてくださいね。ここは休憩タイムですよ」
「「「アハハハハ!!」」」
「ウケてる……」
「じゃあ待っている間に、今日はお子さんも多いので、ハツガちゃんと遊びましょうか。ハツガちゃーん!」
影山の呼びかけで、マスコットが壇上に上がる。
「空野さん来ないから休めると思ったでしょ。そうはいかないからね、ハツガちゃん」
「「「ハハハハ!!」」」
「じゃあ、ジャンケンでもしましょうか。勝った人には素敵なプレゼントを差し上げます……ん? ハツガちゃんジャンケンしたくない? あぁ、手がグーだもんね」
影山のトークが先ほどから一つも外さない。観客は楽しそうにステージを眺め、アトラクションを楽しんでいる。
一方の影山も、トークの勢いは止まらない。テンポよく話し続け、飽きさせないよう観客とのコミュニケーションも挟み込む。
「影山さん……こんなことが……」
15分後。ひなたの後ろから、車が1台入って来て、ステージ傍で停まる。ドアを開けると、空野が慌てて降りてきた。
「あ、空野アナ……」
「ごめんなさい! 遅くなりました!」
空野は水を飲み、マイクを受け取ってステージに向かう。
「皆さんお待たせいたしました! 空野陽太アナウンサーが到着です! 拍手でお迎えください!」
先ほどを上回る歓声が会場に響く。影山はそのままステージ袖にはけ、空野とすれ違った。
「あたためておきました」
「ありがとう! ありがとう!」
影山に二度、三度頭を下げ、空野が登壇する。15分押したものの、予定通りのトークライブが無事にスタートした。
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