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「政略結婚…?」アッシュは、首を傾げた。
「ええ。王族同士が結婚することで、友好関係を築き、互いの国を守り合うのです。もちろん、両国の利益となるような条約を結ぶことも重要な目的です」
「ふうん… 」アッシュは、まだ少し理解できない様子だった。
「結婚にまつわる悲しい話では、例えば… 古代 『アイゼンガルド』の歴史に伝わる悲しい物語ですが、『エルフリーデの悲劇』と言われています」
アリアは、少しだけ声を落とし、まるで物語を語るように話し始めた。
「アイゼンガルドの将軍『ヴォルフラム』は勇敢で知略に長け、広く民から慕われていました。彼は帝国の属国の将軍だった『バルドゥル』の妹、『エルフリーデ』と結婚しましたが、この結びつきが後に悲劇を招くこととなります」
彼女は静かに続けた。
「エルフリーデとの結婚生活は幸せに満ちていましたが、バルドゥルの野心が事態を暗転させます。彼は妹から軍事情報を盗み出し、皇帝に反旗を翻しました。バルドゥルはさらに皇帝を暗殺しようとし、王城を包囲しましたが、最終的にヴォルフラムによって討たれました。その後、公の場で彼女を処刑するという苦渋の決断を下さなければならなかったのです」
アリアの話が終わると、一瞬の静寂が流れた後、ルーナがアッシュに問いかけた。
「ヴォルフラムは、愛するエルフリーデを失う運命を避けられませんでした。アッシュ様、もしあなたがヴォルフラムの立場だったら、どのように行動しますか? 愛か、それとも国の未来か…」
アッシュは、ルーナの問いかけに言葉を失った。
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