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______首都直下型地震_______
家の中がぐちゃぐちゃになった。
揺れが収まり、テレビでは
”まだ揺れが続くかもしれないこと”
”津波の心配は無いこと”
”最大震度7”
の速報が流れていた。
そんなことどうだっていい。
「雫!!」
妻の名前を叫ぶ。
返答は無かった。
自分の身なんかどうでもいい。
雫の元へ向かった。
辺りには照明や窓などのガラス破片が散らばっており、雫の元へ辿り着くまでに両足を負傷した。
雫はうつ伏せの状態で食器棚に下半身を潰されており、上半身には食器の破片が数え切れないほど刺さっていた。
「雫……」
生死の判決は、血の量が物語っていた。
辺り一面に拡がる雫の血。
僕は、まだ残っている一滴の可能性にかけ、食器棚を起こそうとする。
しかし、筋肉も無くガリガリな僕の身体では、食器棚を起こすことは大抵出来なかった。
「雫!雫!返事しろよ!なぁ!?雫!おい!!!」
涙を零しながら叫ぶ。
涙が止まらない。
嗚咽を雫にぶつける。
僕は、自分を憐れみ、後悔している人間のように顔を血だらけのフローリングに殴りつけた。
なんども、なんども。
血の中には僕の血も含まれていたかもしれない。
顔が真っ赤になる。
雫の匂いがした。
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