大切なもの

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大切なもの

スマートフォンのバイブレーションが響く。 身体が震え、トラウマを思い出したかのように飛びあがる。 一瞬にして恐怖に包み込まれた。 ただの”アラーム”だった。 「雫!!!」 ベッドから飛び起き叫び、走る。 「どうしたの?」 雫がキッチンにいた。 思わず涙がこぼれ始め、雫の元へ思いっきり駆ける。 そのまま雫に抱きついた。 安堵に包み込まれ、涙が零れる。 「雫……生きててよかったぁ」 号泣する僕を見て、雫は何かおかしいものでも見るような目で僕を見た。 「どうしたの?笑。生きてるよ笑」 「ああぁあぁぁああああああぁぁぁ」 雫の胸に顔を(うず)くめ何泣き叫ぶ。 「よかった。よかった。」 やっぱり雫の胸の中は安心する。 「本当にどうしたの?笑」 「ちょっと、怖い夢見て」 まるで子供のようだった。 「怖い夢ってないよ笑。そこまでになる?笑」 「地震が起こってぇ、雫が死んじゃって、もうほんとに全部、終わっと思って……」 半泣きで本当に子供のように訴えかける。 「大丈夫よ。生きてるよ。よしよ〜し」 雫が慰めてくれる。 これからは悔いのないように生きようと己に誓った。
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