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「ただいま~……」
くたくたになりながら戻ってきた双子をルゥが出迎える。
「おかえり、怪我はしてないかい?」
「怪我はないけど足と心臓が筋肉痛になりそう。」
「なんだよあの変な奴、狼なんかいなかったし。」
「彼も可哀想な犬なんだよ。自分を狩人のおじいさんの息子だと思い込んでいて、狼を仕留めればおじいさんが帰ってきてくれると思っているらしい。」
犬が人間の振りをしていたのだと知り、双子は驚くが納得もする。
「お守りの中に白い毛が入ってたけど、あれが狼の毛?」
「おやおや、お守りの中身を見ちゃいけないよ。」
「そんなことより、これで懲りたろう。魔法使いになろうなんて思ったらもっとひどい目に遭うかもしれないんだから、よした方が良い。君は相棒の考えなしよりは賢いんだから分かるだろう、今回はたまたま助かっただけなんだってね。」
聞かれたレオは皆の視線が集まって少し気後れしたようだったが、朗らかに答えた。
「確かに危ない目に遭うかもしれないけど、今だって見守ってくれてたんでしょう? 一瞬そこの鏡面が揺らいで見えたもの。僕達もうサードさんがそんなに悪い人じゃないって分かってるんです。ちゃんと狼尾草を採ってきた僕達を弟子にしてくれますよね。」
黒衣は心底嫌そうに顔を歪め、苛立ちを込めた溜息をついた。
「……先生と呼びたまえ。常に敬意を払うように。」
「分かりました、先生!」
こうして魔法使いの弟子となった双子は喜び合い、魔法を使った夢のような光景を想像するのだった。
Fin
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