第四話 飲みニケーション

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「はい、じゃあこれ。これも案件成立すると良いな」 見積書、ちゃんと細部まで確認してくれているのだろうか。ろくに目も通さずにハンコを押したような。まあ、神楽先輩が確認済みだ。問題ないか……。待てよ。「これも」って言ったか? この前の案件はポシャったはずだ。 「『これも』ですか?」 「いやいや、何でもない。何時に出発できる?」 まあ良いか。 「今すぐ行けます」 「そうか。じゃあ十分後に下のエントランスに集合な」 「承知しました!」 よしよし、良い流れだ。 「ところで、もう一人誘っても良いですか?」 「誰を?」 ここで「剛田を」と言ったらどうなるだろうか。あの堅物の剛田におちゃらけた林田部長……。飲み会の相性は最悪という事は部長も理解しているだろうな。いったん名前は伏せてみるか。 「それはこの後のお楽しみって事でもいいですか?」 一瞬の間があって。その後部長はニヤリと笑った。これは何かイヤらしい事を考えている時の顔だ。何だろう、まあいいか。 「もちろんいいぞ」 よし、案件成立だ! あとは剛田をどうやって誘うかだな。正攻法では来ないだろう。ましてや相性の悪そうな林田部長が相手だ。サプライズって事にするか。  そして、一軒目でたらふく酒を飲ませて理性のネジを何本か外したら、次はキャバクラの流れに持って行こう。そして今度は剛田の理性の歯車を外してやる。いよいよ制御不能になったところに風俗で骨抜きにして沼らせてやるのだ!
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