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七月二十九日(月)~三十日(火) 深夜 剛田健介(再)
あれ、なぜこうなった? 隣はコバルトブルーのパーティードレスに、溢れんばかりの艶やかなメロンのような果実が二つ……。どゆこと? ここはいったい……?
「ケンちゃん、はい、アーン」
なぜかその女性が俺の口にブドウを放り込んだ。うん、甘い。薄暗い部屋に、目の前にはウイスキーの水割り。汗をかいたグラスをこまめに拭くこの女性はいったい……? すると、そこに耳障りな声が割り込んだ。
「レイナちゃん、可愛いでしょう。部長のお気に入りだけど、今日は特別に剛田くんについてもらったよ!」
ああ、あの忌々しい如月の声だ。何か言ってやろうと思った矢先、突然、その女性の手が俺の胸筋を撫でた。
「ケンちゃん、すごーい! 素敵な胸板、憧れちゃう!」
そう言うと、俺の左手を握りながら腕を絡めてきた。そして、その右側の果実を惜しげもなく俺の二の腕に押し当ててきた。これはスゴい。女性と手を繋いだのなんて、中学校でのフォークダンス以来だ。それにこの果実……。ああ、この何もかも柔らかい感じ、どうしよう。俺には真里菜たんがいるのに……。
反射的にその女性、レイナさんと言うらしいが、彼女から目をそむけた。すると、林田部長と如月の隣にもそれぞれ女性が付いている。皆、はち切れんばかりの豊満な体がパツンパツンのドレスに辛うじて納まっている。何て刺激的な光景なんだ。
「ハイッ、とりあえず、かんぱーい!」
脳天気な如月は、この期に及んでまた乾杯だ。いったいどれだけ飲むというのか。
「レイナちゃーん! 剛田健介、いや、ケンちゃんはね、この中で一番酒が強いんだよ! さっきも男らしく日本酒をグイグイ飲んでさ! 漢の中の漢って感じ! 格好良いでしょ?」
「えーすごーい! 男らしくて、益々素敵!」
もうダメだ、左半身が柔らかさに満たされて硬直しっぱなしだ、そして、俺のアレにクッと芯が入る感じがした。
「よーし飲むぞー!」
どうした俺、またグラスを傾けている。畜生……。
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